こんにちは。種屋の橋本です。
先日のセミナーで営業の本質とマナーの本質の共通点、といった事を
お話していたら、ちょっと思い出したことがあります。
それはアーティストとデザイナーの違いです。
これを感じたのは、昔、ある展示会に行った時です。
僕の行き慣れていたファッション系の展示会は、商品化する目的で
デザインされたものを提案する場でした。
実際に売り場に並び、消費者に使っていただく目的で
考えられた商品です。
企業として発信しているのですから、そこに販売とか、売上、
利益が絡んでくるのは当然です。
僕が違和感を感じた展示会は、デザイン的にはとても洗練されて
いて見ていて楽しいものでしたが、そこに消費者の顔が
見えてきませんでした。
ですから、ある程度の量産に疑問符が付くようなものがあったり、
実際の使用には耐えられないような仕様だったりしていました。
そんな話を一緒に行ったデザイナーに話したら、
「これってデザインではなくて、アートですね」と言われました。
そのデザイナーは学生時代、よく先生から言われていたそうです。
デザイナーは生み出した商品が実際に使われている場面を想定して
デザインを考える。
アーティストは、自分の発信したい作品を考える。
僕は、履物のメーカーに居たので、何人かのデザイナーと一緒に
働いていました。
靴やサンダルの企画は、ゼロから考えることよりも、すでにあるものからイメージを膨らませたり、トレンドの要素をいれたりして
作っていきます。
お客様は量販店様やアパレルチェーン様が多かったので
「売れる」ことを目的にデザインを考える必要があります。
デザイナーには定期的にファッショントレンドのセミナーに参加してもらい最新の情報を取り入れてもらっていたのですが、
商品のデザインにトレンドを落とし込む際、どれぐらい反映されるのか?
バランスにとても苦労していたようでした。
トレンド色が強くなってしまうと、アートに近くなってしまいます。
20代のお客様が多いお店では売れるのかもしれませんが
会社のお客様にはそんなお店はありません。
また、原価の事を考えると、商品化しにくくなってしまいます。
ですから、デザイナーは若い女性で、ファッションが大好きでしたが、
トレンド要素は抑えめにして「プチトレンド」と称して企画をしていました。
例えば、迷彩柄がトレンドになるようでしたら、靴のインソールに
迷彩柄のプリントを使う、とか、
キンピカがトレンドになるようでしたら、全面を金にしないで、
靴の側面に金のラインを入れるとかです。
また実際にサンプルを作っていただいたり、生産をする
中国の工場もトレンドの素材が手に入らなかったりしましたので
歯がゆい思いをしていました。
日本で素材を探して、中国に送り、似ているものを探していただくのですが、現物があるのになかなか似た素材が探せない。。。
で結局、できるだけ似ている素材でサンプルを作っていただくと、
なんちゃってトレンドというか、安っぽい商品になってしまいます。
いずれにしても、売り場に商品が並び、多くのお客様が履いてみて
レジに持って行っていただけないと、その企画は失敗になります。
常にお客様の目線が大切になります。
最初の話に戻りますが・・・
営業は常にお客様目線が大切。お客様のお困りごとを解決する。
マナーは目の方に不快な思いをさせないように気配りすること。
デザイナーは実際に使ってくれる人の事を想定してデザインを考える。
全てに共通しているのは、相手の方を思う気持ち。
仕事って相手の方がして成立します。
相手の方に喜んでいただけると契約していただき、結果として
売上になります。
働くことの本質ってこんなことなんじゃないかと思います。
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